返報性の原理を営業シーンで活用。先に与えて後で優位に立つ交渉術のコツ
外回りをしているときに、よくランチを奢ってくれる先輩がいるんですね。
毎日一緒なわけではなく、月に1回程度、同行の際ですが、その時は必ず「ランチ行こかー」と誘ってくれます。
同行の際に毎回毎回払ってもらっていると、こちらも流石に気を遣いますよね。
「いつもありがとうございます!今日は僕が払いますね!」と言って伝票を横取りしたことがあります。
これを「返報性の法則」といいます。
返報性の法則とは?
・他人から恩恵を受けたら、何かこちらもお返しをしなくてはいけない
という心理です。
この原理に従うと、「人は与えてくれる人を選ぶ。」つまり「先に与えることで、相手から選ばれやすくなる」という特徴があります。
与えるものは、手土産などの物質的なものだけでなく、仕事を手伝ったり誰かの相談に乗るなどの行為も含まれます。
相手は「これだけやってくれたんだから、自分もお返ししなきゃ!」と感じ、こちらに何かがあった際は、逆に手助けしてくれる存在になります。
実際の活用方法
実際の営業現場でも、この「返報性の法則」を活用することができます。
使い方のコツは、こちらから率先して「貸し」を作ること。
物理的に手土産を持っていくということではないです笑
交渉の場では、先に「譲歩」することで「貸し」を作ります。
例えば、価格面で相手とこう着状態になった際に、先に譲歩する。
納期やオプションなどの厳しい条件下があれば、先に妥協点を見つける。
流石に無理なことは飲めませんが、こちらにとっては大した事ではなくても、相手にとっては重要なポイントを探して先に折り合いをつけるのが良いですね。
僕もこの返報性の法則はよく使ってます。
得意先とのアポが上手くいかない時などは効果的です。
こちらが訪問の候補日を何個か与えて断られることがあります。
後日、改めて連絡し、またスケジュールの折り合いがつかないこともあります。
ただ、全く気になりません!
なぜなら、相手は何度も僕のアポを断っているので(会いたくないわけじゃなく、スケジュールの問題で)こちらに申し訳なく思っています。
3回目の連絡の際は、向こうから「何度も調整頂き申し訳ありません。〇〇日なら都合が良いのですが、ルークさんのご都合はいかがですか?」
と丁寧に言ってくれます。
もちろんその後の商談でも、ようやく会えたという心理から、しっかりと提案を聞く態勢になってくれました。
相手から受けた場合
相手から返報性の法則を受ける場合も想定しましょう。
その際は、できるだけ相手に「借り」を作らないようにすることです。
交渉前に借りを作ってしまうと、こちらが逆に何かを譲歩しなければいけなくなる可能性もあります。
守る手としては、相手からのものや行為の受け取りを遠慮すること。
全て拒否することが難しい場合は、少し対処が必要です。
同等のものを与える
相手が与えてきたものや行為の同価値のものをあえて渡す。
例えば手土産であれば、手土産を。
会食費なら割り勘にするなど、借りを帳消しにして心理的にもイーブンに持ち込みましょう。
いつか返す、と割り切る
相手から何かを受け取って、返す機会が無い場合は、すぐに返そうと思わず、「いつか返せばいいや」くらいに思っておけば十分です。
相手の作戦と考える
相手から与えられたものや行為は、交渉を有利にしようとする策略と考える。
交渉時には気にすることなく進めていくことができます。
相手の与えてきたものを低価値だと思う
与えられても、相手にとっては大したものではない=自分にとってもそれほど価値がないもの、と考えます。
あえてそう思うことで、返報性は働きにくくなります。
まとめ
返報性の法則は、良くも悪くもビジネスシーンでは強力に影響します。
だからこそ、こちらが不利な状況に陥ったり、相手に交渉でペースを握られないよう、過剰だと思うくらい対策を練っておいても良いですね。
- 人は好意を受けると何か返さなければいけないという心理に(返報性の法則)
- 交渉時では相手に先に譲歩することで返報性の原理が働きこちらにとって有利な話し合いを進めやすくなる